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新モデルやヤマダPB家電も品揃え! リユース家電ショップの新トレンド

ワンスタイル
(北海道札幌市、道佛雄太社長)
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近年、家電業界で注目されているのがリユース家電だ。大手家電メーカーや家電量販、最近では地域店も参入し始めている。その市場の先駆けともいえるのが札幌市のワンスタイル(道佛雄飛社長)である。17年ほど前に事業をスタートして年商1億3,000万円の規模に成長。リユース家電の欠品を新品でカバーしようと、コスモスベリーズには14年7月に加盟した。現在はヤマダデンキのPBブランドに着目し、リユース家電との併売に力を入れる。

▲ワンスタイル豊平本店

 

リユース家電とヤマダPBの相似点

消費者心理やライフスタイルが大きく変化

「リサイクル市場全体の規模が拡大しており、中でもリユース家電は大きな伸びしろがある」。こう話すのは、17年ほど前に札幌市でリユース家電の専門ショップ「ワンスタイル」を立ち上げた道佛(どうふつ)雄飛社長だ。

▲ワンスタイルの道佛雄飛社長

確かにリユース家電市場は着実に伸びている。リサイクル業界の専門誌「リサイクル通信」の推計では、2024年のリユース市場全体の規模は前年比7.8%増の約3兆1,227億円。2009年以降14年連続で拡大している。

カテゴリ別では明らかにしてないが、2020年の家具・家電ジャンルで見ると市場規模は前年比9.5%[紗阿3][由寺4]増の 2,371 億円。ここ数年はヤマダデンキがリユース家電事業を拡大し、日立やパナソニックなど大手家電メーカーも参入している。

こうした動きも勘案し、仮にリユースの家具・家電の市場規模を年率10%増ペースで推移しているとすると、2024年は3,471億円。リサイクル市場全体の11.1%を占める大きなマーケットとなる。
リユース家電市場の流れを決定づけた一つ要因は実質賃金の低下だろう。物価上昇に対し賃金の伸びが追いつかず、消費者の購買力が落ちている。

▲生活家電を中心に幅広い品揃えが魅力

「家電でも今どきの消費者は自分が使う機能だけをチェックして、出来るだけ安価なタイプを選ぶ傾向が強い」(道佛社長)。高額な新品よりも安いリユース家電というわけだ。

家電市場が4年連続で落ち込んでいる中で、リユース家電市場が伸びているのは消費者心理やライフスタイルの変化の大きな要因となっているようだ。

急増する単身世帯も追い風

さらに、道佛社長はリユース家電が伸びている要因として、「単身世帯」の存在を挙げる。

「引っ越しや転勤が多い単身者は、家電の使いきりよりも使いまわしを優先するのでリユース家電のハードルが低くなっている。単身者は生活の変化に応じて家電を柔軟に選ぶ傾向が強く、リユース家電はその選択肢の一つになっている」(道佛社長)。

実際に、全世帯の中で単身世帯はどの程度のウエートを占めているのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所によると、単身世帯は2020年時点で38%、4割近くに及んでいる。その数2,115万世帯。2036年には2,453万世帯に増加するという。

▲単身世帯向けの品揃えも充実

少子高齢化が進み、65歳以上の高齢者の単身世帯も増える。2020年時点では737万世帯(13.2%)だったが、2050年には1,083万世帯(20.6%)まで拡大する見通しだ。

今後世帯別で増加するのは「単身世帯」のみというから、将来においてますます大きなマーケットに成長するだろう。

ちなみに、2020年時点で単身世帯のウエートが4割を超えたのは5都道府県のみ。東京都(50.2%)を筆頭に大阪府(41.8%)、京都府(41.2%)、福岡県(40.7%)、北海道(40.5%)などだ。

北海道でも単身世帯の増加が顕著なのは札幌市。中でも中央区、北区、豊平区の3区が突出している。ワンスタイルは北区(北大前店)と豊平区(豊平本店)の両エリアを押さえており、道佛社長の慧眼が光る。

▲「今後は高齢者マーケットも伸びる」と道佛社長

どちらも価格とコスパに優れている

一方、道佛社長はヤマダデンキのPBブランド「ヤマダセレクト」に注目している。リユース家電と量販PB家電は一見異なる商品ジャンルのように見えるが、
対象マーケットや商品の特徴、性格などといった共通点が少なくないからだ。

一つは価格やコスパに優れている点。リユース家電は当然のことだが新品より安く、PB家電は卸業者などの中間マージンをカットして低価格を実現している。

新機能や多機能よりも基本機能を訴求しており、修理よりも交換、大型ではなく中・小型という共通したニーズがある。

加えて、メーカーブランドにとらわれないのも大きな特徴だ。特に、Z世代に代表される若年層にこの傾向が強く、リユース家電やPB家電市場では追い風となっている。

リユース家電、PB家電ともに、現在は幅広い年代の単身世帯や若年層がメーンターゲットだが、今後は高齢者世帯にも広がっていくだろう。

 

大手に負けない「地域一番店」の作り方

▲再生化には徹底した点検・分解・修理・洗浄を行う

「リユース家電の専門ショップというスタイルを確立するまでには紆余曲折があった」と道佛社長。ワンスタイルのオープン当初は総合リサイクルショップとして、家電だけでなくスマホやゲーム、雑貨、衣料などさまざまな分野を扱ってきた。

▲地元テレビ局もリユース家電に注目

「リユース家電の専門ショップになったのは実は消去法。スマホやゲーム、雑貨や衣料などは大資本との競合があってうまくいかなかった。最終的にリユース家電に落ち着いたのは相場価格が安定し、値段が落ちにくいというメリットがあり、小資本でも十分勝ち残れると考えたからだ」と道佛社長は話す。

▲テレビも中・小型を中心に豊富なラインナップ

▲ゆったりした商談コーナーも

年商は北大前店と豊平本店合わせて1億3,000万円。近年、売り上げは毎年10~15%増と順調に伸びている。

最需要期は3月の新生活シーズン

購買層は20代~70代までの単身世帯、20~40代の共働き世帯が中心だ。世帯所得で見ると年収700万円未満が多く、最近は高齢者世帯も増えて、「これが最後と言って冷蔵庫を3回買い替えられたお客様もおられます(笑)」(道佛社長)。

▲リユース家電のBtoBにも力を入れる

リユース家電の数をこなせるのが法人需要だ。一般住宅やマンションの空き部屋などを宿泊施設として提供する「民泊」をはじめ、セカンドハウスや社員寮、オフィス需要などのBtoBにも力を入れている。

コスモスベリーズに加盟したのは14年7月。「創業当時も今もリユース家電をフルで揃えるのは難しい。当時は欠品が多数あったので、それを新品でカバーしようと加盟した」。欠品があると需要は他店に流れてしまうからだ。

では、どのような商品を仕入れているのか。この1年の仕入れ商品を具体的に見てみよう。金額ベースでは単機能の電子レンジ、小型の冷蔵庫(100?前後)や中・小型の洗濯機(6㎏未満)などが上位を占める。

ユニークなのは洗濯機の給水ホースと蛇口(水栓)を接続する「洗濯機ニップル」も多数仕入れている点だ。これがないと水漏れやホースの外れといったトラブルの原因になる。単身者向に向けた気が利く品揃えである。

直近の半年をみると、電子レンジや冷蔵庫、洗濯機の他に掃除機やテレビ、炊飯器、シェーバーなどが目立つ。生活家電や電球、電池や糸くずフィルターなどは粗利益が高いヤマダセレクト商品を仕入れている。

リユース家電ショップにとって3月の春商戦は単身者の引っ越し需要がピークを迎え大きな書き入れ時となる。その最需要期に向けて同店では冷蔵庫、洗濯機、電子レンジの3点セットを年末にまとめて仕入れる。

コスモスを通じたヤマダデンキからの商品調達メリットを道佛社長はこう話す。「新品やPB家電を扱うにしてもヤマダブランドはユーザーに訴求する信用力が全然違う。店としても提案しやすいし、お客様も即納得してくれる」。

来年3月のセールでは単身者の新生活家電の購入データを細かくチェックして、新品とリユース家電、それにヤマダセレクトを組み合わせたリーズナブルな新生活セットを提案したいと話している。

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