電気店

新店舗は夢を叶える「打ち出の小づち」!販売チャンスが増え新戦力の採用も

ながしまでんき
(千葉県松戸市、長嶋淳社長)
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パパママ店から一人親方の個人店になったのは3年前。千葉県松戸市に店舗を構える「ながしまでんき」の長嶋淳社長は、昨年3月に心機一転、店舗の移転オープンに踏み切った。これまでの電器店の常識にとらわれない店を目指したかったと長嶋社長。新店舗は立地の良さと斬新な店づくりによって、振りの客の来店が増え、既存客にも喜ばれている。新店効果によって若手の女性従業員を採用できた。ニュースレターの発行やイベントの開催などこれまで取り組めなかった販促活動を意欲的に展開している。

生活者からみた地域店のイメージ

店の雰囲気が暗くて入りにくい

新店舗の移転オープンにあたり、長嶋社長は「従来の街の電気屋のイメージを覆したい」という強い思いがあった。小規模零細の電器店が生き残るには、新規客と若い世代を迎え入れる取り組みが不可欠と考えたからだ。

▲ライトアップが映えるロッジ風の新店舗

では、従来の街の電器店というイメージはどのようなものなのか。関西地区の大学が地元の生活者にアンケート調査した興味深い資料がある。

主な項目を挙げると、「店の雰囲気が暗い」「品揃えが貧弱」「量販店はぶらりと入れるが地域店は入りにくい」「値段が分からない」「特定メーカーの商品しか販売しない」「パソコンやスマホなどデジタル機器が苦手」「購入後のアフターサービスが不安」などとネガティブなイメージが強かったようだ。

一方、ポジティブなイメージもある。例えば、「工事の技術がよさそう」「自分に合った商品を選んでくれ、使い方が分からなければ教えてくれる」「何かトラブルがあったときに、すぐ見に来てもらえる」、「修理などの細かいことを頼みやすい」などといったイメージだ。

新店舗で負のイメージを払拭

長嶋社長の新店づくりではこうしたネガティブなイメージを覆し、街の電器店のポジティブなイメージをもっとアピールしていこうと考えた。


▲南国のリゾートホテルをイメ―ジしたカウンター

 

まず、店舗移転の基本条件としたのは「立地の良さ」。地元の松戸市内を探し回り、JR常磐線「馬橋駅」から歩いて7、8分ほどの好立地を見つけた。

店舗の向かいは馬橋市民センターで、人通りが多いのでお客の目に留まりやすく、集客力が高まると考えたのだ。

店構えは山小屋を連想されるような「ロッジ風」。店舗面積は6坪だが、駐車場や店頭ファザードなどを含めると30坪となる機能性の高い店だ。

新店舗は通りに面した窓から店内の様子がはっきり見えるのがポイント。「通り沿いを歩く多くの人が、どんな店なんだろうと覗いてくれたり、きれいなお店ですねと店の中に入ってくれる」と長嶋社長。

▲通り沿いを歩く人や自転車に乗っている人も覗いてくれる

 

問題は街の電器店の敷居の高さをどのように払しょくできるか、にあった。
「確かに、街の電器店は量販店と違って気軽に入りにくい。入りやすくするにはどうすればいいのか。店の印象やお客様がゆったりと憩えるように、店の外観や造りだけでなく、装飾や小道具などにも配慮した」と長嶋社長は話す。

まず、来店客を迎えてくれるのは大きな熊のぬいぐるみ2体。さらに、南国のリゾートホテルをイメ―ジしたカウンター、要所要所には観葉植物を配置し、来店客に「ウェルカムメッセージ」を送っている。

極めつけは2台のアクアリウムで飼育されているコバンザメなどの鑑賞魚。美しい体色や珍しい形態を持つ魚が来店客の目を楽しませる。

▲要所要所には観葉植物を配置

ぬいぐるみはもちろん、鑑賞魚や観葉植物、アンテークな椅子やカウンター、人形などが人の目を引くように展示されている。お客様が来てくれる店を目指した長嶋社長渾身のディスプレーだ。既存客はもちろん、振りの客の来店も日増しに増えているという。

店舗正面や外観、店舗の顔ともいえる「店頭ファザード」も見てほしい。テラス付きのおしゃれなレストランのように、メニューボードや照明などが店内の雰囲気を外から伝えている。

長嶋社長は「春や秋のシーズンはカフェ、夏はビールなどで楽しんでもらいたい」とお客様に店頭スペースを開放している。

新戦力を採用!積極果敢な販促を実現

これって、街の電気屋さん?

新店効果は若い従業員の採用にも功を奏した。昨年12月半ばに念願の女性従業員を雇うことができたからだ。名前は竹島玲央奈(れおな)さん、少し前まで東京・新宿の大手美容整形外科に務めていたという才媛だ。

▲新規採用の竹島さん

紹介してくれたのは竹島さんのお母さん。同店の古くからの馴染み客だ。東京から地元の松戸で働きたいという娘さんの願いは長嶋社長にとっても「渡りに船」。新店をオープンしたものの店は留守がちだったからだ。

長嶋社長はOKだが、竹島さんの反応はどうだったのか。
「正直にいって、街の電気屋さんのイメージは薄暗くて、営業しているのかどうか分からない”開店休業”というイメージでした」。

新店を見て竹島さんのイメージはガラリと変わる。「これって電気屋さん。これまでのイメージが見事に吹っ飛びました」。新店効果は若手従業員の採用にも好結果を生んだ。

▲入店してすぐ取り組んだニュースレター

長嶋社長はこれまで取り組もうと考えて取り組めなかった販促活動をさりげなく竹島さんに提案する。その一つがお客様とのコミュニケーションを強化し、営業ツールとしても活用できる「ニュースレター」の発行である。

竹島さんの長所は目標に向かって勢いよく進む「突進力」だろう。ニュースレターの発行でもいかんなくその長所を発揮した。入店してまもなく24年1月号を発行。現在、顧客数と同じ300部を毎月欠かさず発行している。

顧客の大半は65歳以上のシニア層。「文字は大きく内容は簡潔に。ニュースレターでは社長と私がどのような人間か、お店ではお客様のためにどのようなことを考えているのか、などを知らせるようにしています」と竹島さん。

3月号では新店をオープンして1周年目、創業57周年目をアピール。店内ではその記念として来店客に「コーヒーとケーキ」を振る舞った。

4月号では竹島さん自身の紹介を竹島さんがユーモアたっぷりに綴った。「私は以前美容整形外科で働いて美容に関する知識をたくさん学びました。今年は電気屋として重い荷物を持ち上げるために筋トレを始めることに決めました」。

長嶋社長とともにエアコンや大型冷蔵庫を据え付けた際には、お客様から「楽しく拝見しています」と声を掛けられるようになった。

▲竹島さんは立て看板の案内も担当

長嶋社長がニュースレターの次の販促として考えているのは店頭イベントの展開だ。長嶋社長の趣味である「鑑賞魚」、竹島さんの趣味である「ネイルアート(爪の装飾)」や「美容相談」、「タロット占い」などをテーマとしたイベントだ。

「お客様の憩いの場、お客様と楽しめるスペースを作りたかった。店が若返れば若いお客様も増える。家電販売や修理サービスとは違う切り口で新たなお客様を開拓したい」(長嶋社長)。

ちなみに、もう一つ大きな新店効果がある。長嶋さんの家族は社会人の長男を筆頭に3男3女の家族構成。その家族から家電の配送・設置などの応援や、将来の後継者も期待できるようになった。新店は「打ち出の小づち」のように、長嶋社長の夢を叶えてくれている。

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