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家電のセレクトショップに大変身!「暮らし提案型」の新業態店づくりで品揃えを強化

オダデンキ
(福井県福井市、小田裕也社長)
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倉庫代わりにも使い雑然としていた約30坪の店舗が4月13日、改装オープンし大変身を遂げた。福井県福井市に店舗を構えるオダデンキである。品揃えでは「自分たちが使ってみてお客様に自信をもっておススメできる商品を揃えた」と同店の小田裕也社長。家電だけではない。インテリア雑貨や生活用品、レジャー用品、食料品など幅広いアイテムを揃えた店づくりは、さながら家電を中心とした「暮らしのセレクトショップ」といえるだろう。生活者視点での地域店の新たな業態を詳しく見てみよう。

▲オダデンキの店舗外観

●なぜ、店舗を改装したのか

持続可能な地域店経営とは…

現在のパナソニックショップの店数は約6,000店、パナソニック販社の幹部によると2030年には5,000店に減少する見通しだという。

一方、全国電機商業組合連合会によると、昨年2023年11月現在の組合店数は1万1,989店。2022年11月現在では1万2,561店だったので、1年間で571店減少したことになる。

歯止めが掛からぬ地域店の減少傾向に、強い危機感を抱いている経営者は少なくない。オダデンキの小田裕也社長も、従来の電器店経営を続けていたらお客様はドンドン離れてしまうと話す。どうしたら持続可能な地域店経営のモチベーションを高められるのか。

そうした中で、コロナ前に夫婦揃って参加したのがコスモスベリーズの大新年会。「取引先の系列メーカーでも勉強会はあるんですが、コスモスの加盟店さんは商売に対する”熱量”が全然違ってました」と奥様の小田夏津記さん。

大新年会では印象に残る出来事が少なくなかったとし、その中でも特に印象的だったのが「コスモスベリーズ焼津店」(静岡県)さんの取り組みだった。
「店舗では家電だけでなく生活雑貨、インテリア用品なども幅広く品揃えされ、家電のワークショップ(体験型教室)を積極的に展開されている。店づくりの斬新な考え方にハッとさせられました」(夏津記さん)。その取り組みは同店の改装にも大きな影響を与えた。

▲改装店舗の売り場構成

▲30坪のスペースに5つのコーナーを開設

また、オダデンキの世代交代も店舗改装の大きなきっかけとなった。小田裕也社長と夏津記さんの年齢はともに44歳。ご両親である小田成一会長と富美枝さんの年齢はともに70代前半だ。

▲小田成一会長と富美枝さん

新店舗は世代交代の象徴でもある。売り場は大きく「防災・アウトドア」「リビング・小物商品」「季節・健康商品」「キッチン家電・ワークショップ」「リフォーム・水周り」という5つのコーナーで構成されている。ご両親は息子夫婦の新たな店づくりを温かい視線で見守った。

オープン後、成一会長は「30坪という地域店としては比較的広いスペースを上手く生かした。お客様の動線もゆったり商品が吟味できる設計になっている」と息子夫婦の取り組みを評価した。

お客様の趣味や価値観に合う商品を提案

店舗では若い世代のお客様に照準を合わせ、新たなお客様を増やすことに全力を傾注した。品揃えでは若い世代が魅力を感じそうなインテリア雑貨や生活用品、レジャー用品、食料品など幅広いアイテムを揃えた。

「若い世代のお客様は価格にはシビアなんですが、お客様の趣味や価値観の合う商品を提案すると価格をあまり気にせず、すんなり受け入れてくれるんです」と夏津記さん。
例えば、化学肥料や農薬を使わずに自然の恵みを活かして作られるオーガニック食品。食物アレルギーを引き起こさない非アレルギー食品などと組み合わせた調理家電の提案である。

▲売り場は調理家電のワークショップに変身

「お客様の子供さんや親御さんの中には小麦アレルギーを持つ人や、グルテンフリーの食事を守っておられる方が少なくありません。そういった方には小麦粉の代わりに米粉を主成分として使用して作る米粉パンを提案するんです」。

オーガニック食品や非アレルギー食品を作るのはホームベーカリーや自動調理器、電子レンジなどの調理家電。店内や合展、個展などのイベントで提案する。

家電というモノ提案からお客様が喜ぶコト提案に切り替えると、家電購入の成約率はすこぶる高くなるという。夏津記さんはこうしたコト提案を存分に発揮できるステージとして、新たな店づくりを構想したようだ。

●なぜ、キャンプ用品を展示したのか

コト提案は4月のオープニングセールで行った。店内の防災・アウトドアコーナーで展示したキャンプ用品の提案である。

▲防災・アウトドアコーナーではキャンプ用品を提案

接客はオダデンキ流のコト提案

同店でも取り扱っている福井県福井市にあるアウトドア商品の専門商社「ラプラスエウレカアソシエーション」の商品だ。小田社長の年代にジャストフィットするアウトドアのレジャーアイテムの提案である。

主力のキャンプ用テントは女性が親しみやすいアウトドア用品として人気があり、簡単に設営でき耐候性に優れているのが特徴だ。

このコーナーではキャンプ用品を通じて、自然との触れ合いや自然の中での食事、登山やドライブなどアウトドアライフの楽しさをお客様と語り合う。それがオダデンキ流のコト提案だ。お客様との距離感がぐっと縮まる瞬間である。

その他にも、「自分が使ってみて、お客様に使っていただきたいものを多数揃えた」と夏津記さん。一例を挙げると、かつおぶし粉やホワイトバルサンミン粉、オリーブ油などの自然食品、包丁やまな板などのキッチン用品、空間消臭インテリアや高級タオルなどだ。

前述したように、こうした非家電商品と家電を組み合わせれば、新たなテーマの生活提案が訴求できる。例えば、自然食品と調理家電では「健康食」、空間消臭インテリアと空気清浄機では「部屋の空気の空質改善」、高級タオルと高級ドライヤーでは「髪ストレスやダメージの解消」などの提案だ。

▲かつおぶし粉やホワイトバルサンミン粉、オリーブ油などの自然食品をアピール

 

▲小田夫妻が使ってみて、お客様に使っていただきたいものを揃えた

こうした提案活動は上記の5つのコーナーで行われる。特に同店が力を入れているのがシステムキッチンを設えた「キッチン家電・ワークショップ」。食と健康をテーマとしたイベントを夏津記さん自身が講師となって積極的に開催していくという。
主な仕入れ先は地元の卸会社や異業種交流会で知り合った仲間。オープニングセールではPRを兼ねて空くじなしの「抽選会」の商品とした。お客様にまず体験していただきたいと考えたからだ。

●なぜ、品揃えやサービスを充実できたのか

▲改装オープンの品揃えはコスモスベリーズをフルに活用

オダデンキは三菱電機ストアである。だが、「系列メーカー商品だけではアイテム数が少なく、お客様に喜ばれる品揃えができない」と小田社長。そこで、品揃えを強化するために仕入れ面でフルに活用したのがコスモスベリーズだ。

例えば、パナソニックの洗濯機やドラム式洗濯乾燥機、ドライヤー、電動シェーバー、シャープの4K液晶テレビやブルーレイディスクレコーダー、ネックスピーカー、調理家電では象印のIHジャー炊飯器、シャープのヘルシオホットクック、パナソニックの電子レンジやオープントースターやハンドブレンダー、タイガーの電気ケトルなどだ。

オープン前には福井市内のヤマダデンキ店舗を見て回った。面白そうな商品をチェックし直取りするためだ。「やはり大手家電量販店、お客様が喜びそうな商品が多数あった」と小田社長。ここではヤマダデンキ店頭で理美容家電を仕入れたという。

▲オープニングイベントの案内

仕入れはコスモスベリーズの情報サイト「BFC.net」から年間を通じてコンスタントに売れる定番商品を中心に揃えた。

「コスモスさんの定番商品をしっかりチェックすると、メチャクチャ安い商品が見つかる。例えば大手家電メーカーの8㎏の型落ちの洗濯機、5割以上の粗利がとれ4月の売り上げ№1商品になった。お掃除ロボットも5割以上の粗利がとれる機種があるので、定番商品は必ずチェックしている」。

最近の定番商品は売りやすい、売りたい商品が揃っているので、「バイヤーさんの目利きが良くなっているのでは…」と小田社長。

大型商品はヤマダ宅配を活用

オープニングセールでは、お客様に新しい店を見て感じてもらいたかったので、抽選会やヨーヨー釣りなどのイベント、フリードリングやパンやケーキなどの試食会で楽しんでもらったという。こうしたおもてなしはお客様からの評価にも表れ、1週間で約500万円という売り上げにつながった。

販売した冷蔵庫やドラム式洗濯乾燥機などの大型家電の配送はヤマダ宅配で対応した。「男子従業員がいないので大型家電の宅配サービスは非常に助かっている」と小田社長。現在は配送料無料キャンペーン中だが、利便性が高いので終了後も活用するつもりだ。

家電製品を展示している什器はイケアやニトリの組み合わせ家具を活用。そのため店内では家庭的な温かみのある落ち着いた雰囲気を醸し出している。その上、業務用の什器を設置するよりも大幅なコストダウンが図られたようだ。

同店では高2の息子さんが店を継ぐ意思を固めており、中2の娘さんも積極的に店を手伝ってくれるようになった。持続可能な地域店経営のインフラをしっかりと固めつつあるようだ。

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