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コスモスのサポートメニューをフルに活用、新規客開拓や「ご無沙汰客」復活も

でんきの日進
(広島県尾道市、木曽勝則社長)
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コスモスベリーズが提供する加盟店向けサポートをフルに活用している店がある。広島県尾道市の尾道本通り商店街に店舗を構える「でんきの日進」(木曽勝則社長)だ。系列メーカーの品揃えでは「お客様の要望に応えられない」、合展が取りやめになり「年間の売り上げが立たない」、従業員のいない店なので、「大型家電の配送・据え付けができない」、という同店が抱える3つの課題をコスモスのサポートメニューが解決した。どのように解決したのか。具体的に見てみよう。

▲でんきの日進の店舗外観

地デジバブル崩壊で市場が一変

仕入れ先を見直し粗利を追求

でんきの日進がコスモスベリーズに加盟したのは2012年2月のことだ。当時の家電市場は厳しい状況にあった。それまで市場を力強く支えてきた薄型テレビやデジタルレコーダーなど地デジ関連商品の売れ行きが急速に冷え込んだからだ。

その冷え込み具合もケタ外れ。GfKジャパンによると、家電市場は2010年の9.3兆円をピークに、2011年は8.4兆円、2012年は7.6兆円と減少しわずか2年の間に1.7兆円もの市場が消失した。


▲木曽勝則社長

 

木曽社長は当時を振り返りこう話す。
「2011年7月までは薄型テレビを中心に家電製品が本当によく売れた。でも地デジバブル以降は状況が一変。家電需要が減っている以上、これまでのような経営は続けられない。どうすれば地域店が生き残れるかを真剣に考えた」。

そこで思い出したのが、コスモスベリーズに加盟している日立系列の仲間の言葉だった。「パナソニックや東芝など幅広いメーカーから量販店並みの価格で仕入れることができる」。

日立の品揃えではお客様の要望に応えられないと考えていた矢先、多岐に渡るメーカーから安く商品が手に入るという話は木曽社長にとって大きな魅力。

仕入先を見直し、売り上げよりも粗利を追求することで、家電需要の減少をカバーしようと考えたのだ。その取り組みは正解だった。


▲オール電化やリフォームの取り組みも

だが、次なる試練が木曽さんを襲う。2020年、世界中に急速に広がった新型コロナのパンデミックである。日立系列の販社は感染を理由に合展を中止し、それは今でも続いている。

それまで同店では合展は年4回、個展は年2回、トータル6回のイベントで年間売り上げの半分以上を叩き出していた。木曽社長は再び頭を抱えた。

 

コスモスのサポートメニューで課題をクリア

コロナ後に「特招会」の提案という助け船

合展や個展などのイベントで年間の売り上げ計画を立てている地域店は少なくない。でんきの日進にとっても、日立の方針転換は店の存続に関わる出来事だった。

「日立さんの事情もあるだろうが、合展の中止は本当に困った。ヤマダさんの店舗を利用してお客様を招待する特別招待会(特招会)の話は以前から聞いており、コロナ後に助け船を出してくれたのがコスモスさん。年間売り上げが確保できる見通しが立ってほっとした」。


▲特別招待会のチラシ

しかし、1店だけの参加ではイベント効果は薄い。日立系列の仲間を誘ってみた。
「日立の展示会、できんようになった。代わりのところでやってみようよ」。仲間はびっくりする。「そんなこと、出来るんですか。場所は、商品は、どうするんですか」と。
系列店の中には大きな会場を借りて展示会を開催するケースもある。ただ、自店の商品を移動したり、メーカー販社から商品を買い取るなどといったコストがかかる。そのコストは小さくはない。

そこで、木曽社長は前もって作成していた「特招会」のチラシを見てもらう。
決め手は会場となるヤマダデンキテックランド福山西店の店舗写真だ。「ヤマダさんの店舗を借りた合展。我々の新たな合展のやり方です」と説得した。

さらに、ヤマダデンキとのコラボをこう説明した。
「地域店の強みは家電製品を通じてお客様への暮らしの安心・安全を提供できること。欠けているのは量販店の価格サービスと豊富な品揃え。でも、ヤマダさんの店舗を活用すれば、両者の強みが発揮できる」。


▲価格サービスと豊富な品揃えは量販店の強み

その説明に頷いた系列店の仲間は、コスモスベリーズに加盟し「特招会」に参加する。去年の夏、2店の日立系列店はヤマダ店舗に会場を移し、新たな合展を再開した。

 

休眠客やご無沙汰客が来てくれた

招待客は店舗1階の専用ブースで受付してもらい、2階の売り場に木曽社長が案内する。販売価格は悩んだがヤマダ価格に合わせた。
「ヤマダさんの店頭価格で販売すると、粗利が確保できなくなると心配したが、実際には一定の粗利が確保できていた」。

それよりも、ヤマダ店舗を活用しての効果の方が大きいことが分かった。一つは休眠客やご無沙汰客が来場してくれたこと。同店の顧客数は約200世帯だが、来場客は30世帯。その中にはエディオンやケーズデンキを利用するお客様もいた。


▲特別招待会の受付模様

「5年ぶり、10年ぶりというお客様が来てくれた。恐らくヤマダ価格での提供というのが大きなポイントだったと思う」。

当日、来られなかったお客様には後日、木曽社長と一緒にヤマダ店舗で商品を見てもらった。「実際に商品に触れていただくと、お客様は高機能・高単価の商品を選んでくれる。嬉しかったですね」。

特招会に取り組んでいなかったら、他の量販店にお客様が流れていた可能性もある。前述したようにヤマダデンキとのコラボ効果によって、量販店の「価格」と「品揃え」が強くアピールできたというわけだ。
ヤマダ店舗を利用した初めての特招会。木曽社長は200世帯のお客様に一軒一軒、チラシを手配りしながら丁寧に回った。そこではヤマダグループの地域店としてお客様に提供できるメリットを分かりやすく説明した。

特に力を入れたのは若い世代への訴求だ。「当店の得意客の子ども世代ですが、ヤマダさんの特招会ということで提案しやすかったですね」。ヤマダ効果で若い世代の顧客も徐々に増えているという。

特招会の案内チラシはA4版の表と裏に、ペラ1枚を加えた。ペラにはお買い上げ金額に応じて、ハムのギフトやバウムクーヘン、ハーゲンダッツや米沢牛などの景品が掲載されている。

でんきの日進ではヤマダデンキのポイントカードは使えない。そこで、ポイントと同等の景品をお客様に提供するサービスを行ったのだ。


▲ポイントと同等の景品を用意

今夏の特招会は7月6日と7日の2日間開催する。今回が3回目となり参加店は1店増えた。木曽社長は「現状は夏・冬開催の年2回。近い将来、参加店や売り上げ規模を大きくして年4回の開催を目指したい」と夢を膨らませる。

コスモス倶楽部をきっかけにグループ協業化

木曽社長にとって尾道地区のコスモス加盟店の勉強会「コスモス倶楽部」の存在も大きい。現在、特招会に参加している日立系列の3店と2カ月に1回の例会を継続している。

俱楽部は経営や販促などについて、忌憚のない意見を交わせるのが大きな利点。最近、一人ではとても配送や据え付けできない冷蔵庫やドラム洗など大型家電の協業化を決めた。


▲冷蔵庫やドラム洗など大型家電の配送・据え付けを協業化

木曽社長の年齢は70歳、仲間の店主は2人とも50歳という若さだ。大型家電の据え付けはプロの知識や経験、スキルが必須となる。協業化によって、配送・据え付け業務を軽減できる上、なによりも機会ロスを減らせることができる。

「大型家電の対応はこれまでメーカー販社の営業マンにサポートしてもらっていたが、現状では難しくなった。当店のようなパパママ店では大型家電の対応は無理なので、仲間同士の助け合いスキームは願ってもない試みだ」。

5月以降はエアコン販売やエアコンクリーニングなどの取り組みが本格化する。そこで木曽社長は知り合いのハウスクリーニングの大手「おそうじ本舗」FC店とのコラボを提案した。

エアコンクリーニングを専門業者にアウトソーシングすることで、エアコン関連の新たな事業を拡げることができる。

ここ4、5年、でんきの日進が店を構える「尾道本通り商店街」では地域店が4店廃業した。後継者のいない木曽社長だが、お客様のためにも自店の存続を第一に考えている。

「ゆくゆくは若い2人の仲間にお店をみてほしい」と木曽社長。毛利元就の「3本の矢」の逸話ではないが、コスモスベリーズが結び付けた3人の店主の団結は末永くお客様を守っていくことだろう。

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