中・小型「ヤマダ宅配」と「直取り」併用 顧客満足度を高め業務効率もアップ
(杉並区和田、平田信義社長)
春の決算セール(個展)で地元の東京都杉並区が行った「省エネ家電買換促進助成」を活用し、エアコン販売で過去最高の売り上げをマークしたのが「ササハラ電光社東高円寺店」(東京都杉並区和田、平田信義社長)だ。イベントではジャー炊飯器や電子レンジ、テレビなどの動きも好調で、配送はヤマダ宅配を活用した。対象商品は24時間以内に出荷が可能な中・小型家電で納期が見えるのが特徴。CS(顧客満足度)と自店の業務効率を向上する新たな配送サービスとして注目を集めている。
「省エネ家電買換促進助成」の取り組み
▲平田信義社長
春商戦で80台のエアコンを売り上げる
3、4月の春商戦は「ササハラ電光社東高円寺店」にとって大忙しのシーズンだった。この時期、同店史上最高のエアコン販売台数を叩き出したからだ。その数は約80台。
平田社長の予想を超えた販売台数を達成したのは、東京都杉並区が実施した「省エネ家電買換促進助成」のおかげだ。助成金の対象となったのは省エネ性能のエアコンと冷蔵庫である。
助成金の申請受付は4月1日から10月30日までの予定だったが、6月12日には早々に終了した。エネルギーコストの急騰により消費者が電気代を節約しようと、省エネ家電の購入意欲が高まっていたからだ。
東高円寺店では恒例の春の個展を3月23日から4月1日まで実施。「助成金の申請受付の時期とイベントが重なったのはラッキーだった」と平田社長。イベント終了後もエアコンの販促キャンペーンを展開し、大きな実績に結び付けた。
もう一つラッキーだったのは、助成金額は製品価格の25%(上限5万円)と比較的手厚かったことだ。
▲「省エネ家電買換促進助成」のアナウンス
「省エネ家電買換促進助成」と大きく謳ったエアコン中心のチラシを作成。チラシの手渡しの際には必ず一言声掛けした。「補助金を活用すれば賢く省エネできるエアコンが安く手に入ります」。
省エネの対象製品には最大5万円の補助が出る。そこで、チラシには高付加価値機種の掲載を増やし、エアコンの問い合わせ・相談では「現地調査」を徹底した。
現地調査ではお客が特に気にしている電気代の削減について、期間消費電力量や通年エネルギー消費効率(APF)、快適性などの点から分かりやすく説明。
毎日使うものだからイニシャルコストは高くても、快適でしかもランニングコストは賢く抑えられるタイプを薦めた。
▲店頭では超省エネタイプを中心に品揃え
「家電量販では商品の選択肢がありすぎて選べない、とエアコンを購入しないで帰られた方がおられます。こちらはお客様の住まいの隅々まで知ってますから、お客様の好みや室内環境にピッタリ合った機種を提案できるのが強み」。ダイキン製品を中心に超省エネタイプの販売も上々だったようだ。
ただ、せっかくの自治体が推進している省エネ家電買換促進の補助金事業。知らずにエアコンを提案している地域店も少なくない。「もったいないですね。省エネ家電に限らず、地域店経営に関係する補助金事業のチェックは必須です」。
発注がしやすくなったヤマダ宅配
スピード配送のニーズ高まる
お客は地域店の何を求めているのだろうか。「安心・安全」「リーズナブルな価格提案」「素早い対応」「暮らしの困りごと相談」などの他、最近ではできるだけ早く商品を届ける「スピード配送」も求められている。
実際、家電量販やネット通販では「即日・翌日・指定日」などの配達サービスを強化しており、地域店もこうした動きに対応する店が増えている。
▲商品はいったん店に届けてもらう
スピード配送について、東高円寺店ではヤマダデンキのインフラをフルに活用。ヤマダ店舗で直接商品を仕入れる「直取り」と「ヤマダ宅配」(中型・小型家電)を併用する形で、「早く商品を届けてほしい」「指定日に届けてほしい」などの顧客ニーズに対応している。
このヤマダ宅配とは中型と小型家電を対象としたスピード配送システム。
ヤマダウェブコムの在庫を利用して配送するもので、以前はファックス発注だったことから15時以降は翌日対応で、土・日対応が手薄となっていた。そこで、2024年3月から発注業務をシステム化したことによって24時間365日発注可能で24時間以内に出荷でき納期も見えるようになった。
パソコンだけではなく、スマホやiPadなどBFC.netが使える端末ならばすべて発注できるのがみそ。このシステムをしっかりと使いこなすことで発注業務は大幅に改善されたというわけだ。
東高円寺店では商品をいったん店に届けてもらっている。お客の要望に合わせ商品を最短で届けたり、配送指定日・指定時間に届けている。ヤマダ宅配では1カ月平均30個の商品を発注する。
▲BFC.netが使える端末ならばすべて発注できる
コスモスベリーズではこの「ヤマダ宅配」(中型・小型家電)の配送料無料キャンペーンを継続中だが、同店はこのスキームを活用してイベント後の納品をスムーズに行った。
夏商戦の取り組み
▲特価商材が多い夏まつりのチラシ
オリジナルチラシは価格面をアピール
人員は平田社長を含め男子3人と女性パート1人の4人体制で、年商は約7,000万円。売り上げのベースとなっているのは年3回、春、夏、冬に開催する個展である。
春商戦でのイベント成功の余勢をかって、夏商戦でも6月29日〜7月7日の9日間、夏祭りを開催する。
チラシはコスモベリーズが提供する夏まつりチラシと同店オリジナルの売り出しチラシである。お届け方法は手渡し配布とゆうメールに分けている。上得意客300世帯はフェーストゥーフェースの手渡し配布が基本だ。
チラシでは価格面のメリットをアピールする。というのも、諸物価やエネルギー価格などの高騰で、お客の財布のひもが固くなっているからだ。
「コスモスさんの夏まつりチラシは、エアコンや冷蔵庫、扇風機、サーキュレーターなど夏物商品の特価商材が多いので気に入っている。
オリジナルチラシではセール期間中、当店の店頭価格やチラシ価格よりさらに5%、7%、10%値引いている。粗利益率は低下するが、リーズナブルな価格メリットを打ち出すことで、セールを盛り上げたい」(平田社長)。
▲セール期間中は価格メリットを強調
対面率を上げる工夫も
一方、チラシ配布では対面率を上げる工夫を行っている。配布期間は10日間と長期にわたって実施し、忘れないようにカレンダーにチラシ配布日を記した。お客が自宅にいそうな時間帯(午前中or夕方5時以降)に訪問するという徹底ぶりだ。
「チラシはあくまでコミュニケーションツール。お客様との会話や情報交換をするために活用。配布する時間帯は仕事を入れず、お客様との時間を確保している」。
チラシのレスポンス率が低下しているといわれているが、お客との対面率を高めれば「チラシ効果は大きい」と平田社長。
お客によってはセール期間前に冷蔵庫や洗濯機などを注文する方がいる。その場合は「セールまでお待ちください。真っ先に納品します」と平田社長。同氏の誠実な人柄がプラスアルファの売り上げを稼いでいるのかもしれない。