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なぜ、あの店は新規客がどんどん増えるのか!デンキーズの顧客接点「強化戦略」

デンキーズ
(滋賀県高島市新旭町、岸田公作社長)
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地域市場の人口減と高齢化は地域店経営に大きなダメージを与えるといわれている。一方で、高齢化が進んでいるからこそ、家電量販店やネット通販業者にはないサービスを打ち出せば十分打ち勝てると考えたのが、滋賀県高島市に店舗を構えるデンキーズの岸田公作社長だ。その戦略とは「顧客接点の強化」。店舗の改装や人員強化だけでなく、ホームページの改修やブログ、ユーチューブ、ニュースレターなどにも果敢に取り組み顧客との接点を広げている。今年3月〜8月の上半期決算では前年同期比30%増の1億円と大幅に売り上げを伸ばした。同店の具体的な「顧客接点」活動を見てみよう。


▲デンキーズの店舗外観

●デンキーズ流の顧客接点づくりとは

スタッフの顧客接点を「見える化」

デンキーズのホームページを開くと、年間5回開催されるというイベントの模様やユーチューブ、ブログなどのコンテンツがてんこ盛りで掲載されている。

「現状のユーチューブのコンテンツはグダグタですが、この秋には全面的に見直す予定。とにかく店の経営でいいと思った施策はどんどん取り入れています」と岸田社長。


▲岸田公作社長

ここ数年は、IT導入補助金や事業再構築補助金などを活用して店舗改装やPOSシステムの導入、ホームページの改修に踏み切った。

一連の取り組みにおける岸田社長の大きな狙いは「顧客接点の強化」だ。地域店にとって、顧客接点を強化するメリットは大きい。顧客ニーズの把握や顧客満足度の向上だけでなく、顧客との信頼関係が深まり、リピーターやファンづくりにも一役買って新規客も開拓しやすくなるからだ。

その端的な例を紹介しよう。同店が昨年2月から取り組み始めたニュースレター「でんでん通信」の配布方法である。


▲昨年2月にスタートした「でんでん通信」

同店のスタッフは男性5名(岸田社長含む)、女性4名の計9名。基本的に毎月900部を手渡しで配布しているが、スタッフの誰がお客の誰に配布したのか、顧客接点を「見える化」し店内に掲示している。

岸田社長はその狙いをこう説明する。「地域店が永続的にお客様に愛されるにはどうしたらいいか。一つの考えだが、デンキーズの○○さんから買いたいと思っていただけることが重要。

そうすれば、家電の故障や買い替え時に○○さんを思い出してくれる。経験的に言うと店が繁盛するかどうかはあの人から買いたい、あの人に相談したいという人間関係が大きく左右する」。今どきの言葉でいえば、お客からの「推し活」になるだろう。

実は岸田社長、2016年5月の店舗移転の際に一大ローラー作戦を展開した。地元の商圏を隈なくまわり、3日間のオープンセールでは461世帯1,000人を越える来店客を動員し、売り上げは1,200万円となった。

新規客は75世帯140~150人に上ったという。岸田社長を中心に商圏内の顧客を一軒一軒丁寧に回った成果が現れたのだ。「徹底したリアルの顧客接点づくりが大きな成果に結びついた」(岸田社長)。

毎号、興味を引きそうなテーマを掲げる

ニュースレターをきっかけにお客との距離を縮めようと、そのコンテンツに工夫を凝らしている。毎号、興味を引きそうなテーマを掲げて誌面づくりを行っているのだ。


▲ニュースレターでスタッフの名前や顔、人柄などを知ってもらう

例えば、「夏といえばこの曲」、「もし宝くじが当たったらどうする」などといったテーマでスタッフが自身の思いを掲載。「お客様との会話のきっかけになる」とスタッフ全員が楽しんで取り組んでいる。

デンキーズでは近年、男子社員を2名採用した。仕事を覚えるのはもちろん大切だが、お客に名前や顔、人柄などを知ってもらうことも大切。ニュースレターの徹底した手配り配布は、そのきっかけを間違いなく作っている。

顧客接点の強化という点ではある意味、2009年3月に加盟したコスモスベリーズのビジネススキームも貢献している。同店にとって仕入れ商品の幅が増え顧客の選択肢が広がっているからだ。
「国内の家電メーカー大手だけでなく、中小や海外メーカーなどからも幅広く商品が取り扱えるのは大きなメリット。数多くのメーカーの中から商品を勧めているので、お客様への伝わり方が全く違う」。


▲国内大手・中小、海外メーカー製品を幅広く展示

同店は一般的な地域店に比べて、調理家電の取り扱い件数が断然多い。コスモスからの年間仕入れ台数だけでも軽く3ケタを突破する。

「特に象印やタイガー、山善さんなどのヒット商品や話題商品が安く仕入れられるのは大きい。コスモスさん以外のルートでは仕入れ価格が高くなる」。

もう一点はヤマダデンキグループの加盟店というスタンスだ。「新規のお客様にはこう話しています。値段のことはお任せください、ヤマダさんの傘下の店なのでお安くできます。街の電気屋は高いのでは、という負のイメージをヤマダさんのネームバリューが払しょくしてくれる。これは大きい」。

●年間125件の新規客開拓の舞台裏

イベントの演出がポイント

現在の地域店の大きな経営課題の一つが新規客の開拓。少子高齢化、人口減の荒波が特に地方の地域店に押し寄せ、顧客の高齢化が地域店経営に影を落としている。

そうした中で、特筆されるのがデンキーズの緻密な新規客づくりである。同店は3月、5月、7月、9月、12月と年5回の個展を開催しているが、いずれも2ケタの新規客増に貢献している。


▲店売りは女子社員が担当(左側が賀原茄月さん、右側が上田麻衣さん)

今年に入ってからも4回のイベントで100件、1回につき25件の新規客獲得に成功した。日常の精力的な顧客接点活動が実を結んでいる。

一定程度の経費は掛かるが、イベントの活用は客づくりに効果的だ。新しい顧客を引き付ける良い機会になるし、既存客の顧客満足度を高めることでリピーターを増やせる。

売り上げ面でも1回400万〜900万円という高い実績を上げている。年間の売り上げと新規客数はイベントで作り上げていると言っていいだろう。

では、地域店のイベント活動のポイントは何か。岸田社長はシニア層だけでなく、ファミリー層をつかむかはイベントの演出が重要なポイントになると指摘する。

特に、子どもをターゲットに据えたかき氷や綿あめ、焼きそば、うどん、ポップコーン、金魚すくいや塗り絵、じゃんけん大会などの演出がファミリー層を引きつけ盛り上がるという。


▲盛り沢山のイベント演出

開店前に30人以上の行列も

イベントの案内チラシやDM、新聞広告などではこうしたイベントのチケットを添付。イベント当日、チケットが無くてもデンキーズの顧客登録を済ませると各イベントに参加できるという仕組みだ。

「とにかくお客様に楽しんでもらうことが大切」と岸田社長。最近はキッチンカーを呼んだり、地域の業者や福祉施設などの協力を得てアクセサリーや多肉植物、クッキーなどの展示即売会、イベントの合間にはエアコンクリーニングの実演デモなども行っている。

この夏のヒット企画はエアコンのボトム機種(2.2kW、工事費込み)を2台限定で4万9,800円の売価での提供(抽選)。イベント当日は開店前の店舗に30人以上のお客が行列を作ったという。

さらに、イベントではシニア層向けの介護リフォームを実機で提案。力を入れたのは手すりの設置や便座の高さの調整、ウォシュレットやシャワートイレなどの提案だ。シニア層には大変好評だったようで、7月のイベント以降1カ月半で10件のトイレ案件が決まったという。


▲1カ月半で10件のトイレ案件が決まる


▲介護リフォームコーナーを新設

デジタルマーケティングも怠らない。イベントの動画はSNSで発信したりホームページにも掲載。イベントの様子がSNS でシェアされることで口コミ効果も生まれている。

イベントでは調理家電や理美容家電、健康家電、AVアクセサリーなどの小物の品揃えを充実させた。イベントに限らず同店は売り場でも幅広い分野の商品を販売している。

だが、家電の市場価格は頻繁に変化する。そこで、岸田社長はBFC.Netにアップされている市場売価の価格情報をフルに活用する。変化する市場に対応した適正価格を把握できるからだ。

昨年度の売り上げは1億5,000万円。スタッフ全員が顧客接点強化というテーマを共有しつつ、イベントやリフォームビジネスも好調に推移。今年度の売り上げは2億の大台に乗せられるかもしれない。

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